強毒性新型インフルエンザの発生阻止法の提案(再度発生の予防を含む)


平成20年(西暦2008年)3月24日

桐蔭学園

桐蔭横浜大学

医用工学部

臨床工学科

早川吉則

(ユネスコ・アジア文化センター維持会員)

 (ユニセフ・マンスリーサポーター)  

 

 

2008年3月24日以来の訪問者


1. はじめに

 

 近年ニュース等で話題になる強毒性鳥インフルエンザは現在のところ鳥から人には容易に感染しないが、ウイルスが変異して、人から人に感染する新型インフルエンザとして1918年のスペイン風邪のように大流行し、大量の死者を出すようになるのではないかと恐れられている。鳥インフルエンザは多数の渡り鳥が感染していることから世界保健機関(WHO)を中心とした専門家は悲観的な見通しを立て、この新型インフルエンザが発生するのは時間の問題だと考えている(「パンデミック・フルー」、岡田晴恵著、講談社、東京、53頁: 「新型インフルエンザ・クライシス」、 外岡立人著、岩波ブックレット、2006年、東京、2頁)。いったん新型インフルエンザが発生すると感染力が強いことから先年のSARSのように押さえ込むことがむずかしく、世界全体では1億4千万人、日本では210万人が死亡するとオーストラリアの権威あるロウイー研究所は指摘している。実際に起こってみないとわからないが、悪くするともっと多いかもしれない。前にも述べたが、スペイン風邪の時、人口稠密な日本では罹患者(感染して発病した人)が多く、 約40%の人口が罹患した。世界平均での罹患率は30%であった(「インフルエンザの世紀」、 加地正郎著、平凡社新書、東京、2005年、43頁)。 当時の世界人口は18億人、日本の人口は5千5百万人であった。 スペインかぜの罹患者の致死率は日本では約2%、世界平均では約10%で、死者は世界全体では5千万人、日本では45万人とされている。 一方前にも述べたが鳥インフルエンザ罹患者の致死率はがんの50%より悪く、全年齢平均で約60%以上である(若者は死亡率が高く10代は73%、20代は63%であり、50歳以上は18%である。小児・若年成人に患者と死亡者が集中している。) (「人類vs感染症」、岡田晴恵著、岩波ジュニア新書、東京、171頁、「強毒性新型インフルエンザの脅威」岡田晴恵編、藤原書店、2006年、東京、15頁、66〜68頁)。人口密度はスペイン風邪当時よりもさらに日本では2倍、世界では約3倍稠密になっているが、当時の罹患率を用いてもあまりにも恐ろしい数字になる。怖がりすぎるとパニックになって合理的・理性的な対応ができなくなる可能性がある。 そこで根拠はないが新型インフルエンザの罹患率を 仮に全人口の10%であるとしてみると、 60%の致死率と組み合わせても人口の20分の1を超えている。これは エネルギー危機より長期的には 被害が少ないものの、短期的には耐え難い被害である。この文の目的はセンセーショナルに人々を怖がらせることではなく、いくらかでも人命の 被害を少なくすることである。 なお60%もの致死率を維持している間は患者がすぐ病気で動けなくなってしまうために、感染させる機会が少なく、致死率が 20〜10%(天然痘なみ)に下がってから大流行するのではないかとする専門家の意見もある(「強毒性新型 インフルエンザの脅威」岡田晴恵編、藤原書店、2006年、東京、159頁)。ただしこれも実際に起こってみないとわからない。世界保健機関WHOは鳥インフルエンザが人から人に伝染するようになって新型インフルエンザになっても毒性が下がるとは限らないと警告している。 強毒性新型インフルエンザがガンよりさらにたちが悪いのは伝染することである。被害を減らすには、罹患率をさげること(予防)と致死率を下げること(治療)が大切である。

 

2. 強毒性新型インフルエンザ発生阻止法の提案:向かい火作戦--弱毒化H5N1インフルエンザ生ワクチンの提案--

 

H5N1新型インフルエンザが怖いのは誰も免疫を持たないため罹患者が多く大流行(パンデミック)になり、しかも強毒性なので罹患すると死亡率が高いという点である(H5N1以外の鳥インフルエンザが新型インフルエンザになる可能性も無いわけではないがH5N1がほぼ間違いなく新型インフルエンザになると世界保健機関WHOは考えている)。新型インフルエンザでもアジア風邪(H2N2)や香港風邪(H3N2)は大流行はしたが死亡者は比較的すくなかった(世界全体で約200万人)。スペイン風邪(H1N1)も米国での1918年の初頭にアメリカのカンザス州で発生したとされる。発生初期のころは罹患者の症状は激しいがあまり死亡するほどでなかった(グレート・インフルエンザ、ジョン・バリー、平澤正夫訳、共同通信社、25頁・27頁:罹患兵士の死亡率は0.5%よりかなり低い?27頁)これがアメリカの軍事基地の感染しやすい状況の中で伝染を繰り返す内に次第に毒性が高まり、罹患者が死亡するようになり、アメリカ軍の第一次世界大戦参戦(1918年4月初旬フランス着)によってヨーロッパ経由で世界中に広がった。ヨーロッパでの当初の症状は症状は軽く兵士のほぼ全員が回復し、兵士は三日熱と呼んだ(同、128頁)。しかしまもなく毒性が高まり死亡者を増やした。 日本が比較的幸運だったのは人口が稠密であったために毒性の低い1918年に罹患した人が多かったことであろう。このため多くの人がスペイン風邪に対する免疫を獲得した。日本では1919年には罹患者は1918年より少ないのに死亡者の数は1918年とほぼ同数である(罹患者の死亡率は高くなった)。スペイン風邪が大きな被害を出した理由のひとつは第一次世界大戦中で各国の大軍がヨーロッパに集中し感染しやすくなって毒性が増えたことにもあると思われる。 最近私が考えついた新しい方法は比較的幸運だった日本の状態を人工的につくりだすことであり、以下の通りである。「新型インフルエンザが発生する危険性が十分あると判断された場合(注1)リバースジェネテイックスの技術で比較的短時間でウイルスの弱毒化を行い(これはすでにプレパンデミック・ワクチンができているのでかなりの程度達成されている)、人に対する感染力を強くする(注2)(これも多分現在の技術で可能と思われる)。この人工ウイルスを変質しないようにしながら増やして世界中にばらまいてしまう」というものである。

 

  (注1)現在でも十分新型インフルエンザが発生する危険性があると判断して良いのかもしれない? 新型インフルエンザが発生するやいなやというタイミングも考えられるが、新型インフルエンザが人知れず、山間部や離れ島等で発生したりすることも考えられ、遅きに失する危険がある。

 

  (注2)ウイルスの人に対する感染力を強くする技術は公開しないようにする必要がある。 この技術は強毒なウイルスによる生物兵器をつくるのにを悪用されるおそれがある。

 

  このウイルスには誰も免疫を持たないので多くの人が感染して大流行になる。しかし弱毒化してあるので犠牲者は少ない。自然発生の強毒性インフルエンザが来た頃には皆が基礎免疫を持っているので罹患も少なく(大流行にはならず、毎年のインフルエンザ程度)、罹患しても症状が軽いことが期待される。自然発生の強毒性インフルエンザは流行すらしない可能性が高い。ただこの方法は人類が初めて経験するので思わぬ落とし穴がある可能性もある。一つ考えられるのは人工の弱毒性新型インフルエンザと強毒性インフルエンザの両方に個体が感染すると遺伝子の交換が起こり、強毒性で人にたいする感染力の強い新型インフルエンザが発生することである。そこでこのような自然のウイルスに対する捨て身の先制攻撃は自然発生の強毒性インフルエンザが蔓延する前に行い、発熱・咳などの有る人は鳥インフルエンザに感染している恐れの有る鳥・鶏・豚に近寄らないようにする必要がある。現在最大の鳥インフルエンザ死亡者を出しているインドネシア(ここでの死亡率は80%)は新型インフルエンザワクチンが出来ても先進国だけがワクチンなどの利益を受け、インドネシアにはワクチンを買う資金がないため利益がないことを理由に鳥インフルエンザの情報やウイルスの提供を拒絶している。しかし人工の新型インフルエンザを利用する方法ならば有る程度自然に蔓延するのであまりお金もかからず、インドネシア等の開発途上国の利益にもなる。このため大事な自然発生の強毒性新型インフルエンザが発生寸前なのか、既に発生したのか等の情報やウイルスの提供も得られやすくなる。研究としてはまず厳重に管理された状況下で鶏と鳥インフルエンザを使って実験を行ってみる必要がある(もちろんこの場合人への感染力は強くしないウイルスを用いる)。 これがうまくいったら、猫・犬・フェレット等でも厳重に管理された状況下で実験してみる。問題はそれだけの研究を十分に行うための時間的余裕がまだあるかどうかということである。世界で実際に使用する場合、弱毒化インフルエンザ生ワクチンと言えども新型インフルエンザであるので、毎年の普通のインフルエンザよりは犠牲者が多く、アジア風邪や香港風邪程度の犠牲(世界全体で2百万人程度)は覚悟しなければならない。しかしウイルスはすでに弱毒化してあるのでこれをホルマリンで変質させればワクチンとしてつかえる。余裕のある国はこのワクチン (プレパンデミック・ワクチンの原料のウイルス{インドネシアの鶏インフルエンザを 弱毒化したもの}を用いる場合は現在先進国がすでにかなり備蓄しているプレパンデミ ック・ワクチンでよい)をインフルエンザに対して危険性の高い老人・幼児等に接種し ておけばこの被害も少なくすることができる。少々粗っぽすぎるきらいはあるが、ただ 手をこまねいて自然発生の強毒性新型インフルエンザが大流行すること(犠牲者は日本 で210万人?世界全体で1億4千万人程度?)に比べれば被害はずっと少なく、どう もこの方法が一番良いように思われる。。これからこの方法を専門家に相談してみよう と思っている。 世界保健機関(WHO)等の関連機関もこの可能性を真剣に検討してみて欲 しいと思っている。 弱毒化ウイルスの人に対する感染力を増強するのが難しければ、乳幼児や老人などを除いた世界のほぼ全員に接種して人工的に感染 させる必要がある。この際費用がかかるので、先進国は開発途上国を経済的に援助する必要がある。 これは開発途上国の人々を助けるばかりでなく、新型インフルエンザの発生を阻止することにも役立つ。 新型インフルエンザは中国の奥地や東南アジア等の開発途上国で発生すると思われるからである。注射では費用が掛かるので、目に一滴たらす、吸入させるなどの安価な方法を開発する必要がある。

 

3. 第2の向かい火作戦--弱毒化鳥用生ワクチン --

 

ところで人間に対する新型インフルエンザの発生はひとまず向かい火作戦でとめておくことができると 思われるが、鳥の間での強毒性H5N1インフルエンザが流行っている間はあまり安心は出来ない。 なぜならば人の弱毒型H5N1インフルエンザは毎年少しずつ変化して通常のインフルエンザとして存続 している一方で、鳥の強毒性H5N1インフルエンザと遺伝子交換をして強毒型になるかもしれないからである。H5N1に対する基本的な免疫はすでに多くの人がもっているのでこれが大流行をおこすことはないと思われるが、この強毒型インフルエンザに罹患した場合はかなり症状が重いことが予想される。特に乳幼児の死亡率が高いと思われる。 従って鳥の間での強毒型H5N1インフルエンザを留める必要がある。このためには弱毒化したH5N1鳥インフルエンザをつくり(もちろん人間はめったに感染しないようにしておく)野鳥に感染させて離し、野鳥にH5N1に対する免疫をつくってやればよい。 多分この方法でとりの間での強毒性インフルエンザの流行を止めることが出来ると思われる。 但しこの作戦は後戻りがきかないので慎重に検討して実施する必要がある。

 

4.強毒性インフルエンザの再度発生をなくすために

 

強毒性鳥インフルエンザの発生は鶏の狭い空間での大量飼育が原因とされて いる。鶏がまばらであれば 強毒性鳥インフルエンザにかかった鶏はすぐに死んでしま うため他の鶏に伝染することができず、広がらないという理屈である。従って以後は鶏 の狭い空間での大量飼育は禁止した方がよい。卵や肉が安く生産できなくなるが仕方が 無い。かわりに昔から南米で食用に飼育されていたモルモットを大量飼育することが考 えられる。しかしこの場合はペスト菌やハンターウイルス(韓国出血熱)等のモルモット 間での伝染に気をつける必要がありそうである。もっと人間と系統の離れた動物例えば カエルやは虫類の方が良いような気がするが 大量飼育に向くかどうかさらに時間をか けて検討する必要がある。鳥でも大形のダチョウであれば一匹から肉が大量にとれるの で飼育匹数が少なくて良く、数が多いことによる感染の拡大の問題が少ない。このため 将来の強毒性鳥インフルエンザの発生にはつながらない可能性がある。ここらはコンピ ュータシミュレーションによるモデルで確認する必要がある。

 

 

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強毒性鳥タイプ新型インフルエンザ発生阻止法の提案 (再度発生の予防も含む)

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